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Federico Ricci (フェデリコ・リッチ)
~別離、その時に~
■静かな奇跡
13/14シーズン、Romaのトップチームに昇格した下部組織出身者は1人だけだ。
昨シーズンはRomagnoli、Nico Lopezが話題を集め、トップチーム昇格時から人々の目に止まった。
しかし、今シーズンの”その1人”はどうだろうか。
華々しいトップチームの補強に埋もれている?それもあるだろう。
しかし彼はRomagnoliやNico Lopezの様に世代別代表で名を轟かせた訳でも、Primaveraでキャプテンマークを巻いた訳でも、SuperCoppaで決勝弾をあげた訳でも、得点王として評価された訳でもない。
彼は昨年行われたSuperCoppaでは90分をベンチで過ごし、シーズン序盤はFWの3番手4番手の位置づけだった。
それが今はどうだろう。
背番号94、Federico Ricci…Romaのトップチームの一員として名を連ねている。
Primaveraでベンチを温めていた男が、半年間でトップチームのユニフォームを勝ち取るまでに至ったのだ。
誰も彼を知らない。
そんな青年が起こした、静かな奇跡。
その軌跡を、共に振り返りたいと思う。
■魂の半分

2013年5月、Federico Ricciは19歳の誕生日を迎えた。
この画像はその時にFBに投稿された物を拝借させて頂いた。
Federicoは1994年5月27日、Romaに生まれた。
この世に生を受けた瞬間から、彼は1人ではなかった。
人としても、サッカー選手としても、2人は常に共にあった。
しかし共にあるという事は、常に見比べられると言う事。
双子であると言う事は常に彼らのプレッシャーとなっただろう。
他のプレーヤー以上に”自分の存在”を確立しなければいけないのだ。
ここでプレーするのは自分でなくてはならない、それをコーチやチームメイトに証明するには、常に自らの半身が障害となる。
MatteoとFedericoは共にMorenaというクラブでプレイをしている所をBruno Contiに見初められ、2005年にRomaの下部組織へと入団。
当時、より評価されていたのはFedericoの方だったそうだ。
それから現在に至るまでの数年間、再びこの評価が下される事は殆どなかった。
■”知らない方の”
Giovanissimiに進んだ2人。
その頃Matteoの才能が花開き、どんどん評価を上げていった。
追い抜かれたと感じた焦りだろうか、自信を喪失した様だったと言うFedericoは4試合のみの出場に止まった。
08/09シーズン(当時2人は14、5歳)、RomaのGiovanissimiにはRicci兄弟を始めAndrea De Rossi、Marco Frediani、Gaffi、Mattia Rosato、Simone Ceccarelli、Valerio Verreと言った面々が所属していた。
Stramaccioni率いるAllieviではCittadinoやFerriにPagliariniと言った昨シーズン共にPrimaveraで奮闘したメンバーやAlessio Romagnoliも加わり、黄金時代の一時を担う世代となった。
そして11/12シーズン、記憶にも新しいRoma Primaveraの黄金時代を迎える。
上は91年生まれのNegoから下は95年生まれのRomagnoliまで、異なる世代の面々が揃ったこの時代。
Matteoが少しずつ出番を増やす中、彼は大半をベンチで過ごした。
世代別代表にも、Matteoだけが招集された。
おそらくこの頃、”Ricciと言えばMatteoともう1人”と言う見方をされただろう。
のし上がっていく片割れを横目に、”もう1人”がどの様な気持ちだったかはわからない。
わからないが、彼はその年、チャンスを貰ったViareggio Cupで2ゴールを決めた。
そしてそのViareggio CupでDe Rossi監督の…まさに度胆を抜いてみせたのだ。
■これが僕に出来る事

11/12シーズンViareggio Cupセミファイナル。相手はFiorentina、GKは昨シーズンRoma Primaveraのゴールマウスを守ったSvedkauskasだ。
この日もFedericoはベンチでその試合を迎えた。
RomaのスターティングイレブンはPigliacelli, Sabelli, Orchi, Barba, Nego, Matteo Ricci, Viviani(C), Verre, Politano, Tallo, Piscitellaというメンバー。
早々にゴールを許したRomaだったが、交代出場のRomagnoliが値千金の同点ゴールを決め、ゲームを振り出しに戻した。
1-1のまま試合は動かず、延長戦でも決着はつかなかった。
PK戦になる。それを見据えたDe Rossi監督はSBのSabelliに替えてFederico Ricciを投入した。
何を課されているかは明白だ。緊張と重圧が襲う中、彼は延長後半ロスタイムにピッチに送り出された。
先手はRoma。1番手はキャプテンのViviani。GKの逆をとり右足で右隅にゴール。
2番手はエースのPolitano。長めに助走をとったPolitanoは左足で左隅にゴール。
そしてFiorentinaの2番手EmpereurのシュートをGKのPigliacelliが弾きだし2-1とする。
ここで3番手を任されたのがMatteo Ricci。右利きの彼はタイミングを外しそのまま右隅にゴール。
Svedkauskasは天を仰いでいた。
そしてSvedkauskasはこの後更に驚いたことだろう。
今まさにゴールを決められた男と同じ顔をした人間がまた、自分の前に立っているのだから。
しかしその分、ゴールをイメージしやすいといった懸念もある。
4番手はそう、Federico Ricci。
笛の鳴る前から助走を始めた彼はそのまま止まることなく左足を振り抜いた。
ゴール右隅内側。
Matteoと全く同じコースだった。
思わず、De Rossi監督は声をあげた。
それに応えた少年は「どうってことありませんよ」とでも言う様なジェスチャーをしてみせたのだった。
後にDe Rossi監督は誇らしげにこう語った。
「例え、同じことを30回やって見せろと言ってもFedericoなら出来るかもしれない。
彼のテクニックは群を抜いて素晴らしい。Matteo以上と言えるだろう。」
蛇足になるかもしれないがここに記しておきたい。
惜しくもPK戦で敗れた昨シーズンのViareggio Cup。その際もDe Rossi監督はMatteoとFedericoをキッカーに指名した。これが、彼の信頼の証と言えるだろう。
■自由に闘う1シーズン

辛い事、楽しい事、多くを共有してきたRicci兄弟。
昨シーズン後半は共にスターティングイレブンとしてピッチに立ち、多くのチャンスやゴールを生み出した。
相変わらずFedericoに代表からの声はかからなかったが、それでも彼はメキメキと頭角を現し、クロスの正確さ、縦への突破力、決定力、キッカーとしての技術の高さ、守備面での献身性、Matteoとの類稀な連携を見せた。
そして遂に、Enrique監督時以来となるトップチーム参加が決まったのだ。
この夏、オフシーズンの練習試合でもFedericoはチャンスを貰った。
ゴールこそならなかったものの、そしてトップレベルの選手とのレベルの差は感じただろうものの、彼は今後もRomaのユニフォームに袖を通す事を許された。
MatteoはLega ProのU.S.Grossetoにローン移籍が決まり、彼らはキャリアで初めて別々のチームでシーズンを過ごす事になる。
そして先日、双子は揃って代表に招集された。
FedericoはInsigneの代理招集ではあったが、2人が揃って青のユニフォームに身を包んだのである。
互いに、双子と言う枷と支えを取り払い、自由になった。
Grossetoは黒星スタート、Serie Bから降格し依然厳しい状況が続く。
Romaは好スタートを切ったものの、Federicoはトップチームでは出番はなく、練習はトップ試合はPrimaという2重生活を送る。
共に楽な状況等では決してない。
しかし、2人が別々の場所で戦っているからこそ、私は彼らがこの逆境を跳ね除け強く成長してくれると信じている。
翼を半分に分けたのなら、今度は自分だけの翼を生み出すしかない。
互いに両翼を携え再会しよう。
もっともっと高く、一緒に昇って行ける様に。
~別離、その時に~
■静かな奇跡
13/14シーズン、Romaのトップチームに昇格した下部組織出身者は1人だけだ。
昨シーズンはRomagnoli、Nico Lopezが話題を集め、トップチーム昇格時から人々の目に止まった。
しかし、今シーズンの”その1人”はどうだろうか。
華々しいトップチームの補強に埋もれている?それもあるだろう。
しかし彼はRomagnoliやNico Lopezの様に世代別代表で名を轟かせた訳でも、Primaveraでキャプテンマークを巻いた訳でも、SuperCoppaで決勝弾をあげた訳でも、得点王として評価された訳でもない。
彼は昨年行われたSuperCoppaでは90分をベンチで過ごし、シーズン序盤はFWの3番手4番手の位置づけだった。
それが今はどうだろう。
背番号94、Federico Ricci…Romaのトップチームの一員として名を連ねている。
Primaveraでベンチを温めていた男が、半年間でトップチームのユニフォームを勝ち取るまでに至ったのだ。
誰も彼を知らない。
そんな青年が起こした、静かな奇跡。
その軌跡を、共に振り返りたいと思う。
■魂の半分
2013年5月、Federico Ricciは19歳の誕生日を迎えた。
この画像はその時にFBに投稿された物を拝借させて頂いた。
Federicoは1994年5月27日、Romaに生まれた。
この世に生を受けた瞬間から、彼は1人ではなかった。
人としても、サッカー選手としても、2人は常に共にあった。
しかし共にあるという事は、常に見比べられると言う事。
双子であると言う事は常に彼らのプレッシャーとなっただろう。
他のプレーヤー以上に”自分の存在”を確立しなければいけないのだ。
ここでプレーするのは自分でなくてはならない、それをコーチやチームメイトに証明するには、常に自らの半身が障害となる。
MatteoとFedericoは共にMorenaというクラブでプレイをしている所をBruno Contiに見初められ、2005年にRomaの下部組織へと入団。
当時、より評価されていたのはFedericoの方だったそうだ。
それから現在に至るまでの数年間、再びこの評価が下される事は殆どなかった。
■”知らない方の”
Giovanissimiに進んだ2人。
その頃Matteoの才能が花開き、どんどん評価を上げていった。
追い抜かれたと感じた焦りだろうか、自信を喪失した様だったと言うFedericoは4試合のみの出場に止まった。
08/09シーズン(当時2人は14、5歳)、RomaのGiovanissimiにはRicci兄弟を始めAndrea De Rossi、Marco Frediani、Gaffi、Mattia Rosato、Simone Ceccarelli、Valerio Verreと言った面々が所属していた。
Stramaccioni率いるAllieviではCittadinoやFerriにPagliariniと言った昨シーズン共にPrimaveraで奮闘したメンバーやAlessio Romagnoliも加わり、黄金時代の一時を担う世代となった。
そして11/12シーズン、記憶にも新しいRoma Primaveraの黄金時代を迎える。
上は91年生まれのNegoから下は95年生まれのRomagnoliまで、異なる世代の面々が揃ったこの時代。
Matteoが少しずつ出番を増やす中、彼は大半をベンチで過ごした。
世代別代表にも、Matteoだけが招集された。
おそらくこの頃、”Ricciと言えばMatteoともう1人”と言う見方をされただろう。
のし上がっていく片割れを横目に、”もう1人”がどの様な気持ちだったかはわからない。
わからないが、彼はその年、チャンスを貰ったViareggio Cupで2ゴールを決めた。
そしてそのViareggio CupでDe Rossi監督の…まさに度胆を抜いてみせたのだ。
■これが僕に出来る事
11/12シーズンViareggio Cupセミファイナル。相手はFiorentina、GKは昨シーズンRoma Primaveraのゴールマウスを守ったSvedkauskasだ。
この日もFedericoはベンチでその試合を迎えた。
RomaのスターティングイレブンはPigliacelli, Sabelli, Orchi, Barba, Nego, Matteo Ricci, Viviani(C), Verre, Politano, Tallo, Piscitellaというメンバー。
早々にゴールを許したRomaだったが、交代出場のRomagnoliが値千金の同点ゴールを決め、ゲームを振り出しに戻した。
1-1のまま試合は動かず、延長戦でも決着はつかなかった。
PK戦になる。それを見据えたDe Rossi監督はSBのSabelliに替えてFederico Ricciを投入した。
何を課されているかは明白だ。緊張と重圧が襲う中、彼は延長後半ロスタイムにピッチに送り出された。
先手はRoma。1番手はキャプテンのViviani。GKの逆をとり右足で右隅にゴール。
2番手はエースのPolitano。長めに助走をとったPolitanoは左足で左隅にゴール。
そしてFiorentinaの2番手EmpereurのシュートをGKのPigliacelliが弾きだし2-1とする。
ここで3番手を任されたのがMatteo Ricci。右利きの彼はタイミングを外しそのまま右隅にゴール。
Svedkauskasは天を仰いでいた。
そしてSvedkauskasはこの後更に驚いたことだろう。
今まさにゴールを決められた男と同じ顔をした人間がまた、自分の前に立っているのだから。
しかしその分、ゴールをイメージしやすいといった懸念もある。
4番手はそう、Federico Ricci。
笛の鳴る前から助走を始めた彼はそのまま止まることなく左足を振り抜いた。
ゴール右隅内側。
Matteoと全く同じコースだった。
思わず、De Rossi監督は声をあげた。
それに応えた少年は「どうってことありませんよ」とでも言う様なジェスチャーをしてみせたのだった。
後にDe Rossi監督は誇らしげにこう語った。
「例え、同じことを30回やって見せろと言ってもFedericoなら出来るかもしれない。
彼のテクニックは群を抜いて素晴らしい。Matteo以上と言えるだろう。」
蛇足になるかもしれないがここに記しておきたい。
惜しくもPK戦で敗れた昨シーズンのViareggio Cup。その際もDe Rossi監督はMatteoとFedericoをキッカーに指名した。これが、彼の信頼の証と言えるだろう。
■自由に闘う1シーズン
辛い事、楽しい事、多くを共有してきたRicci兄弟。
昨シーズン後半は共にスターティングイレブンとしてピッチに立ち、多くのチャンスやゴールを生み出した。
相変わらずFedericoに代表からの声はかからなかったが、それでも彼はメキメキと頭角を現し、クロスの正確さ、縦への突破力、決定力、キッカーとしての技術の高さ、守備面での献身性、Matteoとの類稀な連携を見せた。
そして遂に、Enrique監督時以来となるトップチーム参加が決まったのだ。
この夏、オフシーズンの練習試合でもFedericoはチャンスを貰った。
ゴールこそならなかったものの、そしてトップレベルの選手とのレベルの差は感じただろうものの、彼は今後もRomaのユニフォームに袖を通す事を許された。
MatteoはLega ProのU.S.Grossetoにローン移籍が決まり、彼らはキャリアで初めて別々のチームでシーズンを過ごす事になる。
そして先日、双子は揃って代表に招集された。
FedericoはInsigneの代理招集ではあったが、2人が揃って青のユニフォームに身を包んだのである。
互いに、双子と言う枷と支えを取り払い、自由になった。
Grossetoは黒星スタート、Serie Bから降格し依然厳しい状況が続く。
Romaは好スタートを切ったものの、Federicoはトップチームでは出番はなく、練習はトップ試合はPrimaという2重生活を送る。
共に楽な状況等では決してない。
しかし、2人が別々の場所で戦っているからこそ、私は彼らがこの逆境を跳ね除け強く成長してくれると信じている。
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